タイ政府による新卒採用支援

 コロナ禍による経済の停滞が続いて回復の兆しが見えない中、多くの企業が人員整理に着手して新規採用を見合わせています。需要側が困難に陥れば供給側も同様の苦戦を強いられる、という図式は想像に難くありません。特に若者にとっては切実な問題で、卒業を見込んでいても就活がままならず、卒業しても未だ就職先が見つからないといった状況が伝えられています。

 そんな中、タイ政府が「新卒採用支援」を打ち出しています。新卒を採用した場合、給料の50%が国によって支払われるという助成金制度で、上限は1人当たり月7,500バーツ。昨2020年10月以来、日系を含む多くの企業が同制度を活用しています。

新卒人材の基準

 企業による求人→書類選考→面接→採用決定といった一連の手順は通常どおりです。もちろん、リクルート会社経由で採用された人材も支援対象です。

 新卒の基準は「タイ国籍を有する25歳まで」の人材です。25歳以上の場合は「2020年に大学を卒業した」人材が対象となります。また、被雇用者(新卒側)が過去に社会保険に登録されていないことが求められています。一度でも就職して社会保険に登録していると、新卒とみなされません。もちろん雇用者(企業側)も社会保険に加入していなければならず、さらに既存社員の15%以上を削減しないことが条件です。助成対象の新卒を受け入れて給料高めの社員には辞めてもらう、という本末転倒な人員整理を避けるのが目的でしょう。

特設サイトでの登録

 採用を決定した後、労働省が特設したウェブサイトに登録します。トップページに英語で「Government Co Payment」と記載されていますが、それ以外は全てタイ語です。実際の登録はタイ人担当者に行ってもうらことになるでしょう。

 雇用者と被雇用者の双方が、それぞれの登録画面で必要な情報を入力していきます。登録が終わったら、雇用者が被雇用者を(事前に入力した)IDカード番号で検索し、「採用」をオファーします。すでに採用を決めた相手ではありますが、形式上は同ウェブサイト上でのマッチングとなります。

 採用オファーが被雇用者に届いて「はい」をクリックすればマッチングが成立し、雇用者にその旨が返されます。さらに採用日などを含む労働契約内容を取り交わして、被雇用者が「合意」をクリックすれば手続き完了です。全てサイト画面上もしくサイト内メールで行われます。合意の後に労働省および社会保険庁による審査が入り、目安として14日以内に雇用者に承認が通知されます。

助成金の入金は翌々月5日

 登録のタイミングによっては、日数が足りずに労働省の事務手続きが間に合わないことがあるようです。月半ばの合意から4日後を勤務開始日に設定した日系企業が、月をまたいで労働省から勤務開始日の延期依頼を受けたという事例がありました。勤務が始まって社会保険にも登録、最初の給与も支払い済みと返答すると、依頼が撤回されたとのことです。また、2人目以降の採用で、ウェブサイトに必要書類をアップロードして労働省の管轄支所に電話、口頭で承認を得たという事例もあるようです。正式な承認メールは後に送られています。労働省も臨機応変に対応しているようです。

 給料および助成金の振り込みは、クルンタイ銀行口座に限定されます。被雇用者は同行の口座を開いていなければなりません。雇用者は月末に助成金を引いた額で給料を振り込みます。振り込み控えの書類にサイン権者がサインをして労働省に提出することになっていますが、翌月以降は先のウェブサイトへのアップロードも認められているようです。政府の助成金振り込みは翌々月5日です。法的におよそ35日の給料遅延となるため、雇用者の被雇用者に対するフォローが必要となってくるでしょう。助成金の適用は2021年11月分の振り込みまで続きます。

早めの採用決定を

 「新卒採用支援」は、タイ政府がコロナ禍の影響で雇用が落ち込んでいることを受け、昨2020年10月に1年間の時限処置として打ち出しました。その後、適用期間が今年2021年11月まで延長されましたが、これは助成金の支払いが11月分まで続くという説明であり、申請自体の受付期間については言及されていません。今後のコロナ禍の状況によって、支援の継続もしくは終了が決まってくるものと思われます。

 そのため、新卒採用は「敢えてこの時期に」という考え方が広まっています。昨年から今年にかけての就職難でむしろ優秀な新卒人材を見つけやすいこと、今回の支援によって短期間であれ人件費を抑えられることが主な理由です。

 疲弊したタイ経済を立て直していくのは、タイの若者たちです。人材採用はもちろん企業発展のためですが、若い世代を育成することによって、タイ経済復興の一端を担うことにもなるわけです。

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